AQUAFARMING
養殖について
		目次
			
		「産地」について
					Q.日本の養殖産地はどこですか?
				
				
					A.鰤や真鯛は黒潮の影響を受ける温暖な海域で多く養殖されています。
				
			
					Q.鰤の産地はどこですか?
				
				
					A.
					鰤は日本で最も多く養殖されており九州・四国が主産地です。
2022年度の農林水産省の統計によると鹿児島(2万1600トン)、大分(1万4800トン)、愛媛(1万3900トン)がトップ3です。
			2022年度の農林水産省の統計によると鹿児島(2万1600トン)、大分(1万4800トン)、愛媛(1万3900トン)がトップ3です。
					Q.真鯛の産地はどこですか?
				
				
					A.
					養殖の真鯛は2022年度の農林水産省の統計によると愛媛(3万8600トン)、熊本(1万100トン)、高知(5600トン)という順になります。
				
			「稚魚」について
					Q.養殖の鰤の稚魚はどうやって手に入れるのですか?
				
				
					A.
					養殖の鰤は天然のモジャコと呼ばれる稚魚を育てます。モジャコは4~5月ごろ九州など日本の南部沿岸で流れ藻(海藻)に付いたところを採捕されます。
				
			
					Q.養殖の真鯛の稚魚はどうやって手に入れるのですか?
				
				
					A.
					養殖の真鯛は今ではほぼ100%人工種苗の完全養殖となっています。
人工種苗の稚魚は天然より成長が早いのが特徴。
			人工種苗の稚魚は天然より成長が早いのが特徴。
「出荷」について
				
						Q.鰤の稚魚のモジャコはいつごろ出荷されますか?
					
					
						A.
						出荷までの期間は1年半~3年程度です。2年目の秋ごろに4キロ以上のサイズとなり出荷の最盛期となります。
					
				
						Q.真鯛の稚魚はいつごろ出荷されますか?
					
					
						A.
						生け簀で1年~2年半かけて1~2キロの大きさに育てて出荷します。
					
				
				「収穫量」について
					Q.鰤と真鯛の養殖と天然の収穫量はどちらが多いですか?
				
				
					A.
					養殖の真鯛の漁獲量は天然の4倍にもなっています。養殖の鰤は天然ものをわずかながら上回っています。
				
			「エサ」について
				
						Q.養殖のエサは何ですか?
					
					
						A.
						鰤にはイワシ類などの生エサが与えられていましたが、原料の減少や環境保全などから現在ではほとんど生エサのみというのはありません。生エサ、魚粉などを使った半生の固形タイプ(MP:モイストペレット)、魚粉や大豆油かすなどを使った乾燥固形タイプ(DP:ドライペレット)、固形飼料を加圧成型した飼料(EP:エクストルーダーペレット)などがあります。DPやEPは水に入っても形が崩れないので海を汚さず環境に配慮した飼料です。
					
				「SDG’sの取り組み」について
					Q.養殖はSDG’sに取り組んでいますか?
				
				
					A.
					真鯛などの稚魚には人が手まきで配合飼料を与え、エサの食べ残しで海を汚さないように努めています。規定量を食べられるようになると自動給餌機に切り替えます。最近ではAIを搭載した自動給餌機が登場して魚の食欲を解析して給餌するので、よりいっそうエサの無駄を省くことができ環境負荷を減らすことができます。
				
				
				
					Q.養殖は環境にやさしいですか?
				
				
					A.
					養殖の人工種苗は天然資源を守りながら年間を通して安定供給できます。昨今では鰤の養殖でもモジャコを採捕しなくてすむ人工種苗に注目が集まっています。モジャコは資源保護のため採捕量と漁の期間の上限が決められています。
				
			「安心安全」について
					Q.日本の養殖魚は安全ですか?
				
				
					A.
					日本の養殖魚は生食を前提にしているため安全面を徹底しています。たとえば生け簀では魚の病気を防ぐために過密にならないよう飼育数をコントロールしています。また魚のワクチンに使われる薬品にも厳しい規制があります。さらに輸出用の加工品にはHACCPが義務付けられています。
				
				
				「伝統の締め方について」
					Q.「IKEJIME」とは何ですか?
				
				
					A.
					魚の延髄を切って締め、エラの膜や尾部の静脈を切り血抜きすること。血を抜くことで変色や血生臭さが抑えられます。魚のうま味を出すにはATP(アデノシン三リン酸)を多く残すことが大切。つまり魚を暴れさせずに締めることでATPが消費されないようにし死後硬直を遅らせます。
				
				
				
					Q.「神経締め」とは?
				
				
					A.
					「神経締め」とは生きた魚のうま味を追求した締め方です。生きた魚の延髄と大静脈を切り血抜きします。その後、死後後硬直をおこさないよう尾から脊柱をエアーで撃ち脊髄を取り出します。こうして消費されずに残ったATPは魚のうま味成分のイノシン酸になり筋肉に蓄積されます。このイノシン酸が魚の「だし」であり「うま味」を感じる成分なのです。また魚肉中に含まれるうま味成分のグルタミン酸も加わることでうま味が強化されます。
				
				
				「どこで食べられる?」
					Q.日本の回転すしでも養殖魚は使われていますか?
				
				
					A.
					大手チェーン店で期間限定商品などとして使われています。
				
			「輸出品」について
					Q.海外にはどのような形態で養殖魚は輸出されるのですか?
				
				
					A.
					真鯛は活魚が韓国で人気です。冷蔵ラウンド(丸のまま)、冷蔵フィレ(3枚おろし)なども輸出しています。鰤は活魚、生鮮と冷凍のフィレなど。冷凍フィレはアメリカで人気です。
				
			
				有路教授が語る
				「COOL!日本の技がつくる養殖魚」
			
			
				
					有路昌彦(近畿大学世界経済研究所 水産・食料戦略分野教授)
規制改革推進会議地域産業活性化WG専門委員、日本学術会議連携会員、養殖業成長産業化推進協議会委員など兼務。
「近大発ナマズ」「におわないブリ」開発者。近畿大学支援の『株式会社食縁』の代表取締役社長も務める。
			規制改革推進会議地域産業活性化WG専門委員、日本学術会議連携会員、養殖業成長産業化推進協議会委員など兼務。
「近大発ナマズ」「におわないブリ」開発者。近畿大学支援の『株式会社食縁』の代表取締役社長も務める。
日本の養殖のすごさ
			
				ブリ養殖は香川県が世界初。生け簀は近畿大学が約70年前に生んだ技術です。それが日本全国に広がり、やがて台湾などアジアへ、そして世界中に広がっていきました。生け簀がつくられる前までは湾を区切っていたのですが共食いをしたり、病気が発生したりするなど問題がありました。そこでグループに分けることにしたのです。日本の養殖魚は大部分が生食用つまりすしや刺身で食べることを前提にしているので素材にごまかしがききません。安全であるのはもちろんのことうま味が感じられるように餌などを調整して育てられています。
			
			うま味を感じるよう育てて加工する
			
				日本の養殖魚は味や見た目を追求してきました。そのため均質にいい健康状態で成長できるよう育て選抜育種しています。またエサの技術が挙げられます。エサはすしや刺身となって食べた時、だしを感じるように配合されているのです。日本人が好む美味しさの基準は「だしとうま味」。うま味は世界に通用するカルチャーになっています。養殖魚は生で食べることを前提にしているので「神経締め」という特別な締め方もあります。これは生きた魚が一番美味しい状態、つまり魚のうま味が残るように締める方法です。日本で培われたうま味を追求した養殖魚は世界でも「うまい魚は日本の養殖魚」と認識されていくのではないでしょうか。